16条1項に基づく保険会社の被害者に対する損害賠償義務 は,期限の定めのない債務であるから,被害者からの請求を受けたとき に初めて遅滞に陥ると解するのが相当である。
」 5 控訴人の当審における主張 3 (1) 被控訴人のBに対する関係における非他人性について ア被控訴人及びBは,共同運行供用者であり,かつ,被控訴人は,本件自 動車の所有者であるBから同車を運転することを認められ,正当な使用権 者として「事故を抑止すべき立場にある者」に位置しており,Bが所有者 として負う事故抑止責任と比較して,何らその責任が劣後することはない。
むしろ,被控訴人は,本件自動車の借主として,本件運行の直前まで, 自ら同車を運転してバーに赴き,さらに,電車やバスが運行されていない 時間帯に,同車のキーをカウンターの上に置いて進んで飲酒・泥酔したの であるから,Aによる本件運行を招来する直接かつ最大のきっかけを作り 出したのであって,被控訴人について上記の事故抑止責任からの離脱を認 める理由は皆無であり,ましてや,事故当日の被控訴人の上記の一連の移 動に同道すらしていないBに比べて被控訴人の事故抑止責任の程度が低い とする根拠はない。
イBは,本件自動車に同乗していないばかりか,同人が被控訴人に本件自 動車を貸し出して以降,Aが本件運行に至るまでの経緯に全く関与してお らず,同車の借主である被控訴人を介して,本件自動車の運行に対する支 配を間接的に及ぼしているに過ぎないから,被控訴人が,本件運行時に眠 っていたためにAに対して具体的な指示ができなかったとしても,そのこ とによって,本件運行時におけるB(非同乗の所有者)の本件自動車に対 する運行支配が,被控訴人(同乗の借主)のそれよりも直接的,顕在的, 具体的となることはない。
ウなお,最高裁平成9年10月31日第二小法廷判決(民集51巻9号3 962頁)は,運転代行者が起こした事故により負傷した被害者が,自ら 自動車を運転することによる交通事故の発生の危険を回避するために,自 動車運転のプロと考えられる運転代行業者に自動車の運転代行を依頼して いたという事情に基づき,同乗の自動車「保有者」である上記被害者につ 4 いて「特段の事情」を認めて,法3条の他人性を肯定した事案である。
こ れに対し,本件の被控訴人は,交通事故の発生の危険を回避するための措 置を何ら講じていないばかりか,むしろ,前記のとおり自らの行動によっ てAによる飲酒運転を招来し,事故発生を助長したとも評価できるから, 上記最高裁判決がいう「特段の事情」を認める余地はない。
エ以上より,被控訴人は,Bに対する関係において,法3条にいう「他 人」に当たらないというべきである。
(2) 被控訴人のAに対する関係での非他人性及びAの非保有者性について Aは,本件自動車を使用する正当な権原を有しておらず,法2条3項の保 有者に該当しない。
仮に該当するとしても,Aによる本件運行は,被控訴人 の容認に基づくから,被控訴人の事故抑止責任は,Aのそれに優るとも劣ら ないことは明らかであり,被控訴人は,Aに対する関係において,法3条に いう「他人」には当たらない。
6 被控訴人の当審における主張 (1) 被控訴人のBに対する関係における他人性について 以下のアないしウの事実を総合考慮すると,被控訴人の本件自動車の具体 的運行に対する支配の程度は,間接的,潜在的,抽象的であるのに対し,B の運行支配は,被控訴人のそれよりも,明らかに直接的,顕在的,具体的で あり,最高裁昭和57年11月26日第二小法廷判決(民集36巻11号2 318頁。
以下「最高裁昭和57年11月26日判決」という。
)にいう 「特段の事情」があるといえるから,被控訴人は,Bに対する関係において, 法3条にいう「他人」に当たるというべきである。
アAによる本件運行に対して被控訴人による一定の容認があったといえた としても,被控訴人は,本件運行の全過程を通じて泥酔して寝込んでおり, Aに対し具体的な運転の指示(危険な場所での運転をやめさせたり,行き 先や運転方法等について意見を言うことを含む。
)もできない状態にあり, 5 そもそも,Aの運転する本件自動車に同乗したこと自体,Aの独自の判断 によることであり,被控訴人の意思によるものではなかった。
イ被控訴人は,Aが運転免許を有していないことを知っており,また,A も被控訴人同様にかなり飲酒していたのであるから,客観的・常識的に考 えてもAのような者が本件自動車を運転することは非常にまれな事態であ り,被控訴人が,これを予測し得たとしても,その予測可能性は低かった。
ウ被控訴人は,本件自動車の所有者ではなく,父であるBから本件自動車 を一時的に借り出しただけの者であり,「自動車所有者の事故抑止責任」 を最も強く課されている本件自動車の所有者であるBと比較すれば,より 劣後する程度の「事故抑止責任」が課されるにとどまる。
(2) Aの法3条責任を根拠とする控訴人に対する法16条請求 アAの保有者性について Aによる本件運行は,被控訴人の容認下に行われており,本件自動車の 所有者であるBもこれを容認していたのであるから,Aは,法2条3項所 定の「保有者」として法3条の規定による損害賠償責任を負担するという べきである。
イ被控訴人のAに対する関係における他人性について 被控訴人が,Aとの関係において法3条にいう「他人」に当たることは 疑いがない。
ウよって,被控訴人がBとの関係において法3条の「他人」に当たらない としても,Aが法2条3項所定の保有者であり,被控訴人がAとの関係に おいて法3条の他人に当たるから,控訴人は法16条に基づき被控訴人に 対し損害賠償額を支払う責任を負う。
カb公園においては,上記のような公園事務所職員による「工事のお知らせ」 と題する書面の個別配付や野宿生活者に対する個別訪問に対し,自治会が,公園事 務所に対して抗議をするとともに,自治会との協議の機会を持つことを求め,また, 原告O及び原告Fを除くb公園原告らにおいても,公園事務所副所長にあてて,野 宿しながら生活の安定のため活用することができるものを含めて新たな自立支援策 を用意することや事態の解決のために自治会と話し合うこと等を要求し,同要求に 対する明確かつ真しな回答のない限り,公園からの立ち退き及び個別訪問を拒否す るなどといった内容の「要求書」と題する書面を原告Hを介するなどして公園事務 所に対して提出したが,公園事務所は,自治会に対し,団体交渉は行わず,個別訪 問を行い自立支援センター等への入所の措置をとるなどといった方針を伝えた。
な お,上記の抗議行動は,自治会を中心として,支援者らを含む20人ないし30人 規模の集団が罵声を挙げて威圧するなどといった態様で行われたほか,公園事務所 職員らの個別訪問による説得活動を脅迫的言辞をもって妨害することもあった。
また,a公園においても,公園事務所職員が個別訪問や個別説明を行わないよう 求めて,支援者らを含む20人ないし30人くらいの集団が公園事務所に詰めかけ 罵声を挙げて威圧するなどの抗議行為が繰り返されたが,公園事務所職員による野 宿生活者らに対する個別訪問は引き続き行われた。
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